「僕」と「Retoro Chrome 320」の世界観


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自分の中では大ヒットなリバーサルフィルム「Retoro Chrome 320」。色も露出も安定性はあまりないし、ザラザラで質も良くはない。でもこのフィルムだからこそ撮れる世界があります。

フィルムで撮る自分の中の世界観。その根元の部分というのは写真を撮り始めた時から変わっていません。

部屋の片付けをしていて、奥から出て来たアルバム。ついつい片付けをストップして見入ってしまう。
見終わった後に、ふぅーと長いため息をつく。ちょっと胸の奥が痛くてしんみり。

でもそれは悲しいという感情とはちょっと違う、また別の幸せの形。

ザックリ言うとそんな感じ(笑)。

幸せだけど切ない、切ないけど幸せ、裏も表も感じる写真。それが表現したい根元の部分。
デジタルで撮る時はまた違うし、フィルムでもそういう写真ばかりを撮っているわけではないけど、10年間変わりなく持ち続けています。その芯があるからなのか、何かで凹まされて写真をやめたい!って、思ったことはこれまで一度もありません。

多重露光の不思議な世界、鮮やか、ドリーミー、ふんわり。いろんな雰囲気で撮ってきて、今はまた根元の部分にスポットを当てて撮りたくなってきました。
それはこのフィルムと偶然出会ったからでもあり、偶然10年ほど前の通勤路で撮影したからでもあります。

そんな偶然に素直にゆだねようと思っています。

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