廃墟とロマン


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廃墟が好き。朽ちていく、自然に侵されている建物はゾクゾクする。
入ってはダメと言われるほど、本当は入りたくなる。プロとして、人として、モラルがあるからさすがに入ることはしないけど。

 

思い返せば中学生の頃、廃墟巡りがマイブームだった(どんな中学生だ)。
廃墟があれば入ろうと試みる悪ガキだった。まぁ、もう時効だ。

近所に5階建ての大きな『廃寮』があった。なんとか敷地内には侵入したものの、建物はどこも鍵がかかっていて中には入れなかった。

このもどかしさ。ロマンだと思った。

窓ガラスを割るわけにもいかない。でも、中は見えてる。どうにかしたい。
グルグル回ってふと見つけたマンホール。とりあえずなんとなく開けてみると、地下に続く梯子を発見。
ハシゴ? 
降りたところでどうせ何もない?
怒られる?
ていうか怖い? 
危ない?

違う違う、そうじゃない。これこそロマンだ。

 

自宅から懐中電灯を持ってきて、梯子を降りていった。薄暗いジメジメした地下だった。

よく分らない機械の中を進んでいくと、上へ登れる階段があった。
全力で駆け上がると、そこは建物の中。急いで正面玄関へ向かい、鍵をあけた。

建物を出て、マンホール付近で待っていた友人に、 握りこぶしをあげる。

「おーー!!」

『おーー!!』

そこは少年たちの秘密基地となった。
まぁ、すぐに飽きたんだけど。

 

今はなき、ロマンだ。久しぶりに感じたいものだ。

 


 

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