絵描きのmomoさんの漫画にて原作デビュー


hosigaoka01

3人の絵日記などでも一緒に展示などをさせて頂いている、絵描きのmomoちゃんとコラボした漫画が完成しました。
僕は原作です。時折写真も使っています。

20頁ほどの一話完結作品ですが、『星ヶ丘』という町での数々の物語をこれからも追加していければと思っています。

まずは第一作。ステキな仕上がりとなっています。
Pixivで見ることが出来ますので、ぜひ〜。


『星ヶ丘』~今と過去が交差する町

変わらないということは決して悪いことではない
いいことだってある
それは過去が継続しているということでもあるからだ

コチラより。


 

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駄菓子屋の祖母の話


短編小説 『祖母の後ろ姿』

dagashiya

僕の祖母は駄菓子屋を営んでいた。近所の悪ガキを怒ったり、泣いている子を励ましたり、下ネタを言って笑わせたり、誰にでも気さくに話しかける名物おばあちゃんだった。
みんな少しのお小遣いを持って、自分で計算して駄菓子を買っていた。お金がなくても、祖母に会いにくる子供がたくさんいた。
小学生の頃はたまり場になっていて、「ええなーお前んち。ばーちゃんオモロいし、駄菓子タダやし!」なんて言ってくる友人がいて、僕はこの駄菓子屋と祖母が誇らしかった。

だけど、中学生を卒業する頃には、みんな部活や塾に明け暮れていて、駄菓子屋に集まることもなく、誰もそんなことを言ってこなくなった。
僕はというと、透明のケースに入った煎餅を一つ10円で売っているなんて恥ずかしいと思っていた。

小学生の頃はいつもお店の中から、つまり正面から祖母の顔を見ていたけど、中学になってそれが後ろ姿に変わった。
高校になってからは、子供たちの相手をする姿は見れなくなった。

 

今、ショッピングモールなどで『駄菓子ショップ』を見かけることがあるけど、そこにいるのはただの店員さん。消費税だって取られる。昔のお菓子は懐かしいけど、それは袋に入ったお菓子で、透明のケースに入れられた10円の煎餅はない。

懐かしいというのは商品であって、そこにある空気は全くの別物だ。自分で小遣いを計算して買いにくる子供もいなければ、オモロいばーちゃんもいない。
わざとらしくレトロ感が演出されているだけで、そこには何の会話もない。
それがダメというわけじゃないけど、全くの別物だ。

 

大切なものは、その時は大切だとは気付かない。失ってすぐに気付くこともあれば、少しの時間をおいて気付くこともある。

祖母の後ろ姿の向こうにはいつも笑顔の子供たちがいた。
僕はいま、それがとっても誇らしい。

 


 

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